「居場所」のある暮らし

 

市民活動センターに届いた冊子から気になる記事をご紹介します。

(東京ボランティア・市民活動センター発行 ネットワークから)

『市民活動のテーマとして、「居場所」という言葉をよく耳にするようになった。この居場所づくりの活動は、サロンやコミュニティカフェ、語り場、○○の家、縁側づくり、みんなの実家などなど、呼び名も様々なら、活動の形態も幅広い。活動する内容を決めていたりいなかったり、また場所も常設ばかりでなく、たとえば月に一回場をひらくものもある。人が集い、一時をともに過ごす場を営むという点だけが共通する。

料理をする(男の料理サークル)、風呂に入る(銭湯を居場所にした)

おしゃべりをする、ちょっと寄る、居たいだけ居て好きに過ごす。

ひとつの場で、ともに過ごすだけで、日常の重荷をおろして一息つき、自分を取り戻す人がいる、新たないきかたを見つける人もいる。そこには、居場所の作り手が訪れる人を受けとめ、作りこみ過ぎないからこそうまれる、居場所の活動の多様さがある。誰にとっても当たり前のように、そうした居場所があるような、そんな地域が増えることに期待する。』

 

6つの例が紹介されています。紹介文の中で、心に残る言葉を抜き出しました。

1.「シニア男性がフラットな関係で居心地よくつながっていく」

おとこの台所ということで世田谷区で行われている活動。仕事をリタイアした後の男性の居場所として、「料理という居場所」。区内にある9か所のふれあいの家を各台所として定例会、依頼があれば出前シェフ、その他に会員同士の交流を深める花見会や新年会などを行っているという。2.「緑の中で一軒家で優しい時間を過ごす」森のこみち(小金井市)

メンバーの一人が自宅の一室を開放してくれるところから始まったという。月1回、10時から15時まで、立ち寄り料は100円。お年寄りや子連れのお母さん、小学生、たまたま通りかかった人など。何も決めてなく、ただ集まってしゃべっているだけだという。がんばらずに柔軟にすすんでいきたいというスタンス。

3.居場所をめぐる取り組み(板橋区)

住民向けのワークショップのなかで、5年後に住みたい町を考えたときに、「つながり・多世代・居場所」というキーワードがでてきた。その後、行ったアンケートから「なぜその場所が好きなのか?そこにいるとどんな気持ちになるのか?」ということまで聞き取り、「どのような居場所が求められているのか、そして居場所を求めているのはどのような人なのか」を地域に発信していく。その活動のなかで、居場所マップを作成。

4.地域の居場所として、つながりをつくり紡ぐ存在…光源寺(港区)

だれでもふらっと立ち寄れるような雰囲気を持ち、地域と共にある。

地域で活動するさまざまな団体に場の提供も行っている。

5.銭湯は、ありのままでいられる(大田区)

日頃の距離感を崩せる特別な空間として、素のままでのおつきあいとか、

“銭湯あるある”として、本音で話ができると「風呂あがりの一杯を究める会」とか「都市湯治」といってゆっくり過ごすことによって、地域全体が人とのつながりを紡ぎだす場になるのではないかと銭湯での居場所づくりの可能性を紹介している。

6.地域資源として活用される「岡さんのいえ」(世田谷区)

中心になる人の大叔母から託された家。一般財団法人「世田谷トラストまちづくり」のスタッフと知り合いだったことから始まった。

居場所とは定義もなく漠としていて、成果も見えづらい。でも、いえでも職場でも学校でもない、過ごしやすい場所。そんな場がたくさんあって、そこによってさまざまな色があるのがいい。行ってみた居場所が合わなければ、別のところに行けばいい。

それぞれの活動のきっかけはシニア向けのボランティア入門講座、あるいは、大学・行政・社会福祉協議会の共催による講座、あるいは「1万人の居場所プロジェクト」という取組から生まれたとありました。

 

そして、まとめの言葉として、

『居場所のあり方は千差万別だが、共通点は、「安心してありのままでいられるところ」なのではないか。そして、結果的に居場所が見守りや防災拠点、コミュニティの再生の場など、様々な要素を兼ね備えた場になっている。ハコやミッションありきではなく、ささやかな居場所が地域のあちこちにあればいいなと思う。』

 

いろいろな取り組みを紹介しましたが、国分寺でも何か参考にできないでしょうか・・・。もしかしたら、どこかで始まっているかもしれません、ささやかな居場所が。(K)